2009年 10月 14日

木のお弁当箱

カテゴリー: 杉の文化研究所

今年の春くらいから、週に一回スポーツジムに通っています。
夕方2時間ほど汗を流した後は、子供の塾のお迎えです。
その間に妻がつくってくれる弁当で夕食を済ませます。
このとき使っているのが曲げワッパの弁当箱です。

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開くとこう↓なります。
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上蓋と底板は杉の赤柾。側面の曲げ部は桧。留めに桜の皮が使われています。
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食後は、一段にまとめ収納することができます。

これをつくってくれたのは、熊本県球磨村にある「そそぎ工房」の淋さん。
以前ブログでご紹介したときは、「山の神様」の案内人でした。(Sさんと表示)
山の神様が相撲をとった土俵痕に連れて行ってくれました。^^
 
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話は弁当箱に戻りますが、ワッパ飯は美味しいです。
ご飯の湯気を吸い適度な湿度に保ってくれ、ほんのりと木の香りがします。
手にする触感も心地よく高級感があります。
お弁当箱一つでこんなに豊かな気持ちになれるものかと感じます。
 
ちょっとお値段は張りますが、ワッパ弁当試してみてはいかがでしょうか。
友人も↓愛用しているようです。
「野崎ショウコの野性派でいこう!」
http://www.nozaki-shoko.com/?p=401
 
●淋(そそぎ)さんに直接問い合わせされたい方は、こちら↓
http://www.hitoyoshi-hikari.com/html_gei_m.htm
をご参考に連絡してみてはいかがでしょうか。
私からの紹介といえばお安くなるかもしれませんよ(笑)

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2009年 9月 17日

杉と桧、どっちの香りが好き?

カテゴリー: 杉の文化研究所

前回記事で西の正倉院をご紹介したところ、
このブログの読者である“ゆきむらさん”が、早速現地を訪問され
昨日、コメント欄に書き込んでくださいました。
とても嬉しいコメントだったので、まずはご紹介させていただきます。

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>こんばんは。

>先日この記事を読み、
>生で見たいという衝動にかられ
>車で4時間かけ、今日行ってきました!

 
>9月7日に板倉をされる建築士の永井さんの
>構造見学会に行ったばっかりだったので
>そのときに見た板倉をもう一度体感できる!と
>思い、非常に遠かったですが、
>がんばって山越えしてきました。。

 
>杉岡さんの写真に驚いた。
>教科書で見た正倉院の印象は小さいと思い込んでいたので
>その大きさを写真で見て驚き、そして現場で生を見て
>また驚きました。

>贅沢にヒノキを使った内部は
>もう築13年?というのに香りがプンプンして
>びっくりです。
>そして同時にわかったことは杉の香りのほうがもしかしたら
>個人的には好きかもしれないということでした。

 
>板倉もこれだけ厚い材が使えたらと常々思っていたので
>思わずスリッパも脱いで素足で感触を確かめてしまいました^^
>杉で10センチの厚さだったらもっとやわらかかっただろうか?
>内部はエアコンが入っていたのだろうか?
>涼しく感じたなあ。
>夏場に来てみたかった。
>こんな中で生活したら、きっと毎日
>元気があふれるだろうななどと
>高望みだけど思いました。。

 
>結局気持ちよくて1時間以上入り浸って
>体感してまいりました!
>到着時は頭痛がしていましたが、
>出る頃にはひいてました^^

 
>いい情報ありがとうございました!!!
 

>追伸
>山の残りの部分の下草狩りも先日行って
>無事終わりました。

 
*****************************************
 
西の正倉院のすばらしさを共有できて嬉しいです。
こちらのほうこそ、ありがとうございました。
私も行くまでの道中が長く(朝8時出発、到着午後4時過ぎ)て、
着いたときはヘトヘトだったのですが、なぜだか元気になりました。
今回は、コメント中の香りについて、ちょっとだけ掘り下げてみたいと思います。
 
>杉の香りのほうがもしかしたら個人的には好きかもしれない・・

じつは私もそうです。
ヒノキの香りも好きなのですが、少し強すぎると感じます。
東京大学名誉教授の有馬先生(宮崎県木材利用技術センター所長)
のマウス実験に面白い結果があります。
それは、「マウスによる床材の嗜好性試験」というものです。
 
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コンクリート製の巣箱の中央に通路用の穴をあけた隔壁を配置し
二分された部屋の床に材質の異なる建材を床張りして
マウスがどちらの部屋を休息の場に選ぶのかを調べました。
この巣箱には一匹のマウスを入れ、1時間ごとにどちらの部屋にマウスがいるのか2日間観察します。
観察時に5分以上マウスが継続して静止休息している状態のものだけを数えデータとしました。
 
「なぜ、いま木の建築なのか」(有馬孝禮 著)より
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まず、スギvsコンクリートでは156匹:11匹です。
つぎに、スギvsヒノキでは160匹:6匹です。
面白いのはヒノキvsコンクリート。
数の上では、84匹:73匹ですが1日目と2日目で傾向に変化が生じました。
1日目は明らかにコンクリート側に偏っていたのが、2日目にはヒノキに偏ったのです。
有馬先生はその理由をこう述べています。
「その理由として初日はヒノキの香りが強烈で避けていたが、
2日目には熱を奪われないヒノキに移行したと推測される。」
 
マウス実験でもこのような結果がでたわけですが、
「杉の香りのほうがもしかしたら個人的には好きかもしれない」
という好みの傾向はむしろ多数派なのではないか、と思われます。
木の香りに関して、ヒノキの方が取りざたされるのは、おそらく
無垢材というものが生活の場から遠くなるに従って、
杉の香りという共通認識が薄れていったからではないか、と考えられます。
 
>杉で10センチの厚さだったらもっとやわらかかっただろうか?
 
これは木材の密度(比重)の話ですが、またの機会に・・・(笑)
下草刈りどうもお疲れさまでした!

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2009年 9月 02日

正倉院を身体で感じる。

カテゴリー: 木造建築の味覚

ついに政権交代。大きく変わる為の一歩を踏み出しました。
日本にとってそんな重要であった8月30日、私は早々と投票を済まし、社員旅行で
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ここ↑を訪ねておりました。 そう、ご存知の正倉院!^^
それではここで質問です。
教科書などで見たことがあるはずのこの建物、一体どれくらいの大きさかご存知ですか?
この写真からご想像ください。
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私の身長が174㎝ですから、とてつもない大きさだということがお分かり頂けると思います。
お断りしておきますが、写真のように正倉院の真下に入ることはまず不可能です。
それではなぜこんなことができたのでしょう?
・・・それはここが「西の正倉院」だからです。
 
西の正倉院って何?って思った方、けっこう多いのではないでしょうか。
私もつい最近(昨年奈良の正倉院に行った直後)、師匠に教えていただき知ったのですが、
じつはここ、奈良ではありません(笑) 九州は宮崎県、美郷町(旧南郷村)なのです。
平成8年、奈良の正倉院を寸分違わず復元されたのが、この「西の正倉院」でした。
建築にあたっては、瓦の数から木材の寸法、内部に至るまで忠実に復元されています。

(昨年11月、奈良の正倉院に行ったときの記事↓)
https://sugiokatoshikuni.com/?p=35
どのような経緯でこの復元が実現したのか、詳しくは↓こちらをご覧くださいませ。
http://www.town.miyazaki-misato.lg.jp/315.htm
http://www.pmiyazaki.com/nangou_ku/syousyouin/
 
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復元建物とはいえ実際に目にした時、またもや笑ってしまいました。
想像をはるかに超えたものに遭遇し、
声にならない「オオ~」の後こみ上げる笑いとでも申しましょうか・・・(笑)
国宝の建物を見たときと同じような、浄化(purify)された
清々しいオーラに、建物全体が包まれていていて・・・
本当に素直に、感動してしまいました。
樹齢400~500年の木曽の天然檜を2,000本使用し、
造営にあたっては、伊勢神宮の遷宮さながらの様々な神事を重ねられたことなどが、
そのような雰囲気を醸し出すことに繋がっているのかもしれません。
ともかくここは本物。復元物といった陳腐さは皆無でした。
 
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内部は↑↓このように展示室となっています。
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足元の束柱と礎石との接合部をご覧ください。
石の形通りに木が削られています。これを光つけといいます。
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この束柱の直径は2尺(約60センチ)あります。
高さは2.5m。縦4本×流れ10本の計40本で上部の板倉を支えています。
一本のお値段は400万円と伺いましたので、
下世話ながら計算すると、この束柱だけでなんと1億6千万!@o@
復元工事全体の予算が16億3千3百万ということでしたから、
なんとその10分の1が、この40本に充てられたということになりますね。
驚きです。
 
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となりにある神門(みかど)神社の御神木の2本の杉の間に見える正倉院。
不思議な光景でした。。。
正倉院は総檜造ですが、杉の文化研究所ということでご愛嬌(笑)

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2009年 8月 20日

これからも木の家はつくりつづけられるのか?

カテゴリー: イベントのご案内

来月の9月18日(金)19:00より、福岡市舞鶴の「あいれふ」にて
林材ライター赤堀楠雄さんの講演会を開催します。
赤堀さんの記事は、↓こんなところで読めます。

●職人がつくる木の家ネット「赤堀楠雄の林材レポート」
http://kino-ie.net/index/akahori

●中日環境NET(中日新聞)
http://eco.chunichi.co.jp/column/column02/2009/06/post-2.html#000040

●私の森.JP
http://watashinomori.jp/knowledge/message_03.html

  
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九州民家フォーラム2009
「これからも木の家はつくりつづけられるのか?」
日本中の山林を歩きつづける林材ジャーナリスト
赤堀楠雄が語る「日本の森林と木材の現状」
***************************************
 環境問題が共通認識となり、住宅の長寿命化が
家づくりにおける中心的なテーマとなってきました。
長年風雪に耐えてきた木組みの民家が今、注目を集めています。
 ここで素朴な疑問が浮かびます。
「長寿命住宅に使えるような優良な木材は、 これからも手に入り続けるのだろうか?」
これはもっとも根源的な課題であると思います。
日本の森林は果たして、増えているのでしょうか?減っているのでしょうか?
また、木こりから大工さんまで、木に携わる人々の生業は継続可能なのでしょうか?
 日本中の山林や木の建築現場を歩き、森や木に携わる人々を追い続ける人がいます。
林材ジャーナリスト赤堀楠雄さんです。
今回は、これまで氏が見てこられた日本の森林と木材の現状を語って頂きます。
そして皆さんと一緒に、これから森や木とどのように関わってゆけばよいのか、
考えてみたいと思います。
「木を見て森を見る」ことを願って。。。
 
講師:赤堀楠雄氏 プロフィール
1963年生まれ、東京都出身。
大学卒業後10年余、林業・木材業界新聞社を経て
99年より林業・木材分野の専門のフリー・ライターとしての活動。
全国の森や林業地に赴き、常に当事者の立場を深く理解しようとする
真摯な姿勢と確かな取材視点には定評がある。
オフには東京・奥多摩の森や東信州の農村で、
山仕事や農作業の基本を勉強中とのこと。
著書に「図解入門 よくわかる最新木材のきほんと用途」
(秀和システム)がある。
 
日時:平成21年9月18日(金)18:30開場 19:00開演
 
場所:あいれふ 講堂 (福岡市中央区舞鶴2丁目5番1号)
 
会費:1,000円
 
問合せ先:NPO日本民家再生協会 九州沖縄地区委員会
      福岡市大手門3-7-13 エステート芳賀2階
       FAX : 092-725-8240 (城戸まで) 
       Email:sub.box-caracara@crest.ocn.ne.jp
    (お名前、人数、連絡先を明記の上お申し込み下さい。)
 
主催:NPO日本民家再生協会 九州沖縄地区委員会

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2009年 8月 19日

日田杉のルーツ「宮園津江神社」

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(宮園神社にて) 

すっかり久方ぶりの更新となりました。
この間いろんな出来事がありました。そしてたくさんの出会いもありました。
本当に充実しています。心より感謝します!^^
さて本日は、すでに10日前となってしまいましたが、
「日田杉の原点」を訪ねた旅をご紹介しようと思います。

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8月9日午前中、日田市(旧上津江村)の山林を訪ねました。
ここには樹齢70年ほどの展示林があります。
数多くの杉の品種が植えられ、成長の違いなどが観察できるようになっています。
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その後、すぐ近くにある100年を超えた美林を見学しました。
この杉は、奈良の吉野杉の苗木を移入してあります。
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(何か聞こえますか~?^^)
 
昼食は、お楽しみの「つゆ草」にて!
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この日だけの特製ランチ。愛子さん手製のお料理はいつ食べても美味っ!でした。^^
ホントに感動します。ごちそうさまでした~!!
 
そして午後は、この日のメインである宮園神社を訪ねました。
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縁起を少し・・・
津江神社は、老松大明神社を主柱神とし、天神七代、地神五代が祀られています。
当柱の創立は治安3年(1023年)、日隈四郎藤原信弘により宮原に創建され、
その後仁安3年(1168年)に現在地の宮園に遷宮されます。
樹齢300年を超える挿し木植林による杉林は、日田杉のルーツである、と言われます。
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(↑↓多くの方が氣をチャージされていました。^^ 下の写真は人が米粒のようですね、笑)
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つづいて九州最古の庭、伝来寺庭園へ。
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伝来寺は延元3年(1338年)、長谷部信雄が大智禅師を迎えて開いたのだそうで。。。
 
最後に、日田市旧大山町にある国指定重要文化財民家「矢羽田家住宅」を訪ねました。
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筑後川流域特有の杉皮葺き屋根、九州にしか見られない分棟型の民家が特徴。
杉皮の屋根の後ろには、なだらかな杉山が・・・(笑)

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こんな杉一色の一日でした。みなさんお疲れだったかも・・・と心配でしたが、
参加者からいただいたメールに
「杉の精気をいただいたせいか、帰宅しても、いつもの倦怠感に襲われずに済みました。」
の一言があり安心しました。
それにしても、この記事を振り返りながら思います。。。
 
写真、、、「緑」ばっかですよねぇ~^^

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2009年 7月 30日

杉の品種と適材適所

ヤブクグリ、ウラセバル、ヒノデ、メアサ、アヤスギ、ホンスギ、モトエスギ・・・
 
馴染みのない言葉でしょうが、これらは日田地方でよく耳にする杉の品種の名前です。
杉(Cryptomeria japonica)は分類上、一属一種と言われますが、
九州の杉だけでも栽培品種で言うと100もの名前があるということは以外に知られていません。
 
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(宮島寛・著「九州のスギとヒノキ」より)
  
百を数える名前の中には、地域によって呼び名が変化することもあります。
そんな異名同種であったり、それとは逆の同名異種であったりと、分類するのも至難の業のようで。
未だ品種の分類が確定されているわけではありません。
それでも、通直であったり曲がっていたり、強度や含水率など、
品種によって同じ傾向があることは、まず間違いありません。
「氏より育ち」ではなく「育ちより氏」である、と言えると思います。
 
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(宮島寛・著「九州のスギとヒノキ」より)
  
さて、この品種による品質の差ですが、11年ほど前私は、
後の方向性に影響を与えたある貴重な体験をいたしました。
それはまだ私がこの世界に飛び込んで間もない頃のことでした。
当時私は、杉の赤身の強度は白身より高いのではないか、という仮説を立てていました。
そこで、福岡県森林林業技術センターに杉の桁材を百数十本持ち込み、
センターの研究者の方々の協力を得て、強度の検証を行いました。
 
一本一本重さを量り、木口(年輪部)を金槌で叩き、音の周波数を採取します。
これにより、木材の強度=ヤング係数の推定値が計測できるわけです。
残念ながら、強度において赤身が強いとは言えませんでした。
ところがこのとき、思わぬ収穫を得ることになりました。
それは、同じ九州の杉なのに、強度の差が、
ピンとキリでは3~4倍もあるという事実でした。これには衝撃を受けました。
品質の差があるということは分かっていたけれども、
数値にそれだけの開きがあるなんて、思ってもみませんでしたから。
 
そして同時に、面白いことに気づきました。
それは、先代・先々代から教わった、「この木は硬い、この木は柔らかい」、
といった「木の見立て」は正確である、ということでした。
さらに、この硬い木、柔らかい木の差が、
品種の違いと年輪幅に関係していることを感覚で掴むことができました。
 
それからというもの、私は
年輪を見ただけで品種を見分けられるようになりたい、と思うようになりました。
すると面白いものです。徐々にではありますが、
剛性が高く硬くて強い品種(a)、
多少柔らかいがしなって折れにくい曲げ強度の高い品種(b)、
柔らかくてサクサクしているが、曲がったりねじれたりしない品種(c)、
などの特性がわかるようになってきました。
ちなみにa)は柱や桁・梁といった構造材に、b)は桁・梁などの横架材に、
c)は板材や下地材、節が少ないものは建具に、などといった用途が考えられます。
同じ山に多くの品種の杉が植えられていたりもしますが、
例えば家を一軒建てる場合、最小の面積を伐採するだけで、a~cといった
様々な用途の木材が採れると考えれば、合理的と言えるのかもしれません。
 
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ここで皆さんに一つ質問をしたいと思います。
北部九州では、ひとつながりの山に杉といっても多様な品種が植えられています。
この事実は、どのように捉えられているとお思いでしょうか?
 
今のところ、この杉の品種によるバラつきは、大きな欠点であると見なされています。
大量生産、安定供給、品質均等を図るには素材の均一化が効率的ですから、
弱い物、品質の劣る物に基準を合わせることになってしまいます。
その結果、良いモノの価値が付加されなくなる、ということが起こるのです。
 
外材8割、国産材2割、という木材の自給率的観点からすれば、
林業コストを削減し、木材加工を合理化させる、という論理になります。
リアリティを持って考えるならば、これは正論です。
国際競争力を考える時、国産木材の利用を促進するためには
確かに避けて通れない考え方であると思います。
しかしながら、手塩にかけて育てられた良い木材は、
もっとそれなりに評価されてもよいではないか、と感じます。
でも残念ながら、それらの行き先は、年々狭まっているような気がしてなりません。
 
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本来、良い物というのはどこに使われるのが望ましいと思われますか?
私は、樹齢以上に「材齢」を重ねられる建築物に使用するのが良いのではないかと考えています。
そして、できるならばぜひとも、伝統的な木組みの建築物に使用してほしい、と願います。
 
伝統的な建築物の魅力は、なんと言ってもその美しさにありますが、
美を構成する要素に、木のクセを活かした木組みを欠くことはできません。 
伝統的な建物づくりは、木のバラつき・欠点はすべてクセであり特性であると見なします。
これこそ、「適材適所」と言えるのではないでしょうか。
  
8月9日(日)の九州民家塾では、山を散策し氣をチャージしながら(笑)、
そんな先人たちの考え方や工夫などを、私が気づいた範囲内でお伝えできればいいな、とも思っています。
幸い、日田市上津江には多品種の杉が植えられた試験林(50年生くらい)があります。
また近くには、吉野から苗木を移入した美しい杉の人工林(100年生超)もあります。
 
なにかとお忙しい時期にて恐縮ですが、ご興味のある方はぜひご参加くださいませ。^^

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2009年 7月 29日

日田杉の原点を訪ねて。

今日は、来月予定されている「九州民家塾」のご案内です。
僭越ながら今回は私が案内人を務めさせていただきます。
次回記事では、山を散策し何を見ようと考えているのか、
もう少し詳しく書いてみたいと思います。^^
 
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九州民家塾第9期第2講
「日田杉やったら、中津江に行かなわからん」
 
日本三大河川の一つ筑後川は、阿蘇と九重の山々を源とし、
有明海へと流れる143kmもの流程を持ちます。
水源へと遡ると、深い山々が幾重にも連なり、杉や檜の人工林が広がっています。
ところがこれらの景色、それほど古いものではないようです。
1700年代の大分県地方の史料業書などの記録には、
天然の雑木林、小松山、柴山、竹藪が殆どであったと書かれています。
 
筑後川の上流域に位置する日田林業は、日本三大林業地にも数えられますが、
一体いつ頃から、そしてどこから始まったのでしょうか。
 
日田地方に初めて杉が植えられたのは、いまから約518年前の延徳三年(1491)のころ、
津江城主信安が中津江村宮園の梅野神社境内に植えたものと伝えられています。
 
そこで今回は、日田杉のルーツを探しに、中津江村に行こうと思います。
そして、杉を中心とした林業のこれまでを振り返り、これからを考えたいと思います。
この日は、林のこと木のことなど、わかる範囲でお伝えします。
杉に少しでもご興味ある方はぜひご参加くださいませ。
 
昼食は、「もくたろ」にも掲載された「つゆ草」店主、愛子ちゃんに腕を奮って頂きます。
高菜、こんにゃく、ごぼう、里芋、椎茸、そば、放し飼い地鶏の卵…などなど、
素材のほとんども手作りの手料理です。ご期待下さい。
 
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【日時】2009年8月9日(日)10:00~

【場所】大分県日田市中津江村

【集合場所時間】
「木の花ガルデン」駐車場(日田市大山町東大山)に10時

【参加費】会員2,000円 会員外2,500円(昼食代・資料費)

【申込締切】8月6日
 
【スケジュール】
10:00~集合
10:30~上津江の山を散策
      (数多くの杉品種が植林される試験林、100年生の美林など)
12:00~特製民家昼食:「つゆ草」 
15:00~宮園津江神社の杉並木見学(樹齢500年という巨木群約30本)
16:00~伝来寺庭園見学…九州最古の庭園(枯山水)。1338年頃造営されたと伝えられる。
 
【問合せ先】
日本民家再生協会 九州沖縄地区委員会
福岡市大手門3-7-13 エステート芳賀2階
TEL &FAX : 092-725-8240 (城戸まで)
 
【案内人】
杉岡世邦 
木挽棟梁 (有)杉岡製材所専務 雑誌「もくたろ」筑後川特集を企画
JMRA九州運営委員長  http://sugiokatoshikuni.com.com

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2009年 7月 25日

三浦梅園と杉

カテゴリー: 杉の文化研究所

先週末は、豊後(大分)の国東半島へキャンプに行きました。
1日目は晴れましたが二日目は雨。
子どもたちには残念な、でも、私にとっては恵みの雨となりました。
 
というのも・・・
雨のおかげで念願の三浦梅園邸に行くことができたのですから。
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三浦梅園は江戸時代の思想家であり、自然哲学者であり、職業は医者、豊後の三賢人として知られています。

私が梅園という存在を知ったのは10年ほど前、
とある木材市場にて「梅園お手植え」と語られた杉の木を見たときのことでした。
樹齢250年といわれるその木は、姿形といい、色といい、年輪のつまり方といい、
めったに見ることのできない、それはそれは素晴らしい杉の木でした。
 
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(庭にそびえるこの杉もお手植えなのでしょうか?ちと若い気もしますね、^^)
 
今年の4月18日、その名前を再び意識することになりました。
「ぼくの九州同舟制」と題した松岡正剛氏の独演会で耳にしたのです。
 
日本には「日本の心のルーツ」がある。
我々は記憶の奥に共通するあるものを持っている。
それを独自に体系化した天才、それが三浦梅園だ。
 
 
概ねこのような表現であったと記憶しています。
それ以来、三浦梅園をもっと知りたいと思っていたのでした。
梅園の旧邸宅を見学した後、隣接する資料館へ入館し、
3本のビデオを子どもたちと一緒にゆっくりと視聴しました。
タオイズムを元にした自然観と宇宙観、そして哲学に触れることができました。
帰りに初筆復元版の「玄語」(5千円也)を購入。
難解な書物として有名な本です。もちろん全く歯が立ちません。
そこで解説本「三浦梅園」(中公バックス)を密林にて購入とあいなりました。^^
どこまで噛み砕けるかまったく自信ありませんが、これも何かの縁、
とにかく口に入れてみることにしました。^^
 
今日はなんだか、他愛もない話ですみません(笑)
ご興味のある方はこちら↓もご一読下さい。^^

松岡正剛 千夜千冊 第993夜
三浦梅園 「玄語」 
http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0993.html

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2009年 7月 18日

伝承の森

カテゴリー: 杉の文化研究所

今週は、(株)大喜工務店の切り込み場へと打ち合わせに行ってきました。
大喜工務店は、享保年間に創業、現在は社寺建築を専門とされる老舗で、
現在、福岡市法行寺様の本堂新築工事で協働させていただいております。
この日は、屋根の下地となる部材の打ち合わせでお邪魔いたしました。
 
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社寺の屋根は軒が反り上っています。
そのため、大工さんが設計図より実大の原寸図を書き起こすのです。
今回は、実際にどれくらいの幅の木材が必要なのか、原寸図を採寸してきました。
それにしても壮観です。
広い床一面に合板が敷きこまれ、いたるところに緻密な図面がひしめいているのですから。
  
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この原寸図、何度見てもワクワクします。^^
建てられたものを見れば、錯覚で正方形に見える部材も、
こうして原寸図を見ると菱形であったりして、驚かされるものです。^^
古からの文化が、こうして引き継がれているのだなぁ、としみじみ感じます。
 
 
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午後より、福岡市にある老舗工務店(株)安恒組にお邪魔しました。
安恒組は明治30年に創業。四代続く老舗です。
(安恒組の安恒社長を紹介した私のブログはこちら
この写真は安恒組事務所の打ち合わせ用テーブルでして、
部材はなんと松の赤身材・無節の無垢板です。^^
しかも!老舗ならではの物語があります。
もともとこの板は、十日恵比寿神社の床板(とこいた)として使用されていたものです。
大改修の際、役目を終えたため安恒さんが引き取ったとのことでした。
部材となって65年ほど、まだまだ樹齢を考えれば何倍も使えます。
それにしても、これだけの広い松の一枚板がピーンと真直ぐな様は、
凛としいて格好良い!ものです。^^
松はとてもねじれ易い部材なので、この板の裏側には
蟻桟(ありざん)」という反りを止める加工がしてあります。
蟻桟の歴史は、少なくとも弥生時代中期(約2000年前)からの技術なのだそうで・・・
これまた古の文化に思いを馳せました。
 
この日、二つの老舗工務店にお邪魔した後より、
民俗学巨匠のこの言葉が脳裏に残響しています。
 
「人間は伝承の森である。」 宮本常一

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2009年 7月 10日

杉赤身材の表彰状

今週は嬉しいことがありました。
弊社の工場長が勤続二十年を迎えたので表彰状を贈ったのでした。
永年勤続賞とは言えまだまだ46歳。
これからさらに活躍してもらわねばなりませんが、
20年ひたすらにこの道一本で積み上げてきた努力に感謝しています。
そこで、うちらしく木の表彰状をお贈りすることにいたしました。
 
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この表彰状は杉の赤身材です。
縦300ミリ×横420ミリ(A3サイズ)で厚さは30ミリ。
表面はカンナの超仕上げで、
文字および鳳凰はレーザー彫りの加工が施されています。
 
工場長は想像以上に喜んでくれまして、
「おれが死ぬとき、棺桶にいっしょに入れてもらおう」
と笑いながら言ってくれました。
 
その後、一緒に食事に行ったのですが、
木の仕事に対する思いを夜が更けるまで、熱く熱く語ってくれました。^^
彼らの日々精進の支えがあるからこそ、
私はこの仕事に携わることができ、
多くのお客様に喜んでいただけるのです。
わかっているようでいて改めて、この日そのことを
深く深く思い知らされました。
本当に有り難いことです。感謝の一言です。^^
 
最後に、この表彰状のレーザー加工をしてくれたところをご紹介させていただきます。
福岡市にある(株)チクモクという会社です。
チクモクの加藤社長には、木青会でとてもお世話になっています。
今回のレーザー加工はチクモクの「ウッドパフォーマンスCUCKOO」という
事業部でやってくれます。担当は古賀さんですのでみなさんよろしく!^^
博多木札(はかたきふだ)などの制作販売で、地元では結構知られているんですよ~。^^
 
加藤社長、古賀さん、この度は本当にありがとうございました!
これからの定番となりそうですので、今後ともよろしくお願いいたします。
 
お二人とも「山のぼせ」(博多祇園山笠に狂っている人)ですから、
山笠のクライマックス=追い山の7月15日までは何も手につかないことでしょう(笑)
ちなみに今日は7月10日、山が動き出す「流舁き(ながれがき)」の日ですね。
さぞかし良か汗ば流されたことでしょうね~^^

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