アーカイブ 「日々雑感」

2021年 12月 31日

令和3年 私は何を考えたか


一年間の入手書籍を10年前から公開しています。
「入手」なので全て読了した訳ではないものの、その時々で何を考えていたか、よい記録となります。
コロナ禍の今年の入手書籍は181冊でした。
3月に故・河上信行先生の蔵書を多数形見分けいただたので、その分は改めます。
今年の一冊は『ダライ・ラマが語る般若心経』ダライラマ/大谷幸三でした。
本よりも付属のダイライ・ラマのインタビューDVDを数えきれないくらい見ました。
斎で過ごす時間が長くなったからでしょうか。
般若心経についての関心が高まっていたのです。
ダライ・ラマの言葉を聞くことで、空をPerciveできたような感覚を覚えました。
ほかには、上野誠先生の「日本人にとって聖なるものとは何か」、
マクロビオティックを提唱した桜沢如一氏の「無双原理・易」も何度も読みました。
仕事はとても多忙でしたが、一方でメディテーショナルな一年であったように思います。
 
令和3年 購入(入手)書籍一覧
1月 (73)
普請研究  No.1-40(終刊) 普請帳研究会, 1982年-1992年,新書版
普請研究  No.39(第2版)
重要文化財大野老松天満社旧本殿修理工事報告書 :文化財建造物保存技術協会 編 ,1984
あるがままに生きる 足立 幸子
真 地球の歴史 波動の法則2 足立育朗
「とこよ」と「まれびと」と 折口 信夫
まれびとの歴史 折口 信夫
死者の書 折口 信夫
死者の書 ——初稿版—— 折口 信夫
呪詞及び祝詞 折口 信夫
家 (上) 島崎 藤村
万葉集に現れた古代信仰 ——たまの問題—— 折口 信夫
大嘗祭の本義 折口 信夫
山の人生 柳田 国男
海上の道 柳田 国男
古代生活の研究 常世の国 折口 信夫
神社合祀に関する意見 南方 熊楠
原始仏典 (ちくま学芸文庫) 中村 元
座右の書『貞観政要』 中国古典に学ぶ「世界最高のリーダー論」  出口 治明
日本歴史の特性 津田 左右吉
人間釈迦〈1〉偉大なる悟り 高橋 信次
すべては森から 落合俊也
新方丈記 (福武文庫) 内田 百けん
方丈記 鴨 長明
万葉集研究 折口 信夫
原始・古代住居の復元 日本の美術 (No.420) 宮本 長二郎
出土建築部材が解く古代建築 日本の美術 第490号 (490) 宮本 長二郎
徹底解剖! ベートーヴェン 32のピアノ・ソナタ: ピアノ音楽の金字塔と名ピアニストたち 音楽の友
建築家という生き方 27人が語る仕事とこだわり
ブッダ伝 生涯と思想 中村元
グレタたったひとりのストライキ マレーナ・エルンマン / ベアタ・エルンマン / グレタ・トゥーンベリ / スヴァンテ・トゥーンベリ / 羽根由 / 寺尾まち子
FACTFULNESS 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣 ハンス・ロスリング / オーラ・ロスリング / アンナ・ロスリング・ロンランド / 上杉周作 / 関美和

2月 (26)
日本人にとって聖なるものとは何か – 神と自然の古代学  上野 誠
森林はモリやハヤシではない-私の森林論- 四手井綱英
未来への大分岐 資本主義の終わりか、人間の終焉か? マルクス・ガブリエル / マイケル・ハート / ポール・メイソン / 斎藤幸平
世界史の針が巻き戻るとき 「新しい実在論」は世界をどう見ているか マルクス・ガブリエル 大野和基
無双原理・易 新編集版 「マクロビオティック」の原点 桜沢如一 / 岡田定三
百年の轍 織江耕太郎
一粒の麦 神渡 良平
愛は憎しみを越えて 高橋信次
人間・釈迦 1 偉大なる悟り  高橋 信次
人間・釈迦 2 集い来たる縁生の弟子たち 高橋 信次
人間・釈迦 3 ブッタ・サンガーの生活  高橋 信次
人間・釈迦 4 カビラの人々の目覚め  高橋 信次
悪霊 (1) 高橋 信次
悪霊 (2) 高橋 信次
森物語 高田宏・文/水越武・写真,
鬼の研究  馬場 あき子
日本国紀 百田尚樹
銀閣の人 門井慶喜
仙人の研究 知切光歳
森林の江戸学〈2〉-徳川の歴史再発見
愛と経済のロゴス カイエ・ソバージュ 3 中沢 新一
神の発明 カイエ・ソバージュ〈4〉 中沢 新一
対称性人類学 カイエ・ソバージュ 5 中沢 新一
「神木探偵 神宿る木の秘密」 本田不二雄
重要文化財英彦山神社奉幣殿災害復旧工事報告書 文化財建造物保存技術協会 編著,平成18.3
「西の正倉院」建築事業報告書 南郷村企画観光課,平成9年

3月(3)
樹木・木材と年代研究 国立歴史民俗博物館研究叢書
玄奘三蔵 史実西遊記 前嶋信次
超寿の条件 まだ間に合う!豊かな人生へのリスタート 真弓定夫

4月(9)
まぼろしの最終講義 上野誠
「nyx 第5号」【第一特集「聖なるもの」:江川純一×佐々木雄大】【第二特集「革命」:斎藤幸平】
恩讐の彼方に 菊池 寛
小林秀雄 美しい花  若松 英輔
死者の書 続編(草稿) 折口 信夫
心に響くコミュニケーションペップトーク 岩崎由純
完訳7つの習慣 人格主義の回復 スティーブン・R・コヴィー
食の文明論 池谷和信 編
山に立つ神と仏 柱立てと懸造の心性史  松﨑 照明

5月(15)
ダライ・ラマ般若心経を語る ダライ・ラマ / 大谷幸三
ダライ・ラマが語る般若心経 大谷 幸三
シュタイナーの死者の書  ルドルフ シュタイナー
初期万葉論 白川 静
後期万葉論 白川静
霊魂の話 折口 信夫
日本書と日本紀と 折口 信夫
物部氏の正体  関裕二,
消された王権・物部氏の謎 オニの系譜から解く古代史 関裕二
本当に日本人は流されやすいのか 施光恒
日本型資本主義 その精神の源 寺西重郎
精神科は今日も、やりたい放題 医者が教える、過激ながらも大切な話 内海聡
山岳 森林 生態学  今西錦司博士古稀記念論文集
人間と適応 生物学と医療 :ルネ・デュボス/木原弘二訳,
一建築家の信条 :前川國男 宮内嘉久編,

6月(9)
大工道具の日本史 (歴史文化ライブラリー) 渡辺 晶
大工道具の文明史 日本・中国・ヨーロッパの建築技術 渡邉晶
日本歴史館 小学館
棟梁 技を伝え、人を育てる 小川三夫 / 塩野米松
物部氏―剣神奉斎の軍事大族 (古代氏族の研究)  宝賀 寿男
三輪氏―大物主神の祭祀者 (古代氏族の研究) 宝賀 寿男
ダライ・ラマ自伝  ダライラマ
人生100年、長すぎるけどどうせなら健康に生きたい。 病気にならない100の方法  藤田 紘一郎
アースダイバー神社編 中沢新一

7月(5)
実践 ブッダの瞑想法―はじめてでもよく分かるヴィパッサナー瞑想入門 (DVDブック) 地橋 秀雄
清沢満之  吉田 久一
現代語訳 清沢満之語録  今村仁司,
日本の都市空間 都市デザイン研究体 彰国社編
世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」 山口 周

8月(13)
人身御供と人柱 喜田 貞吉
万葉集のなり立ち 折口 信夫
青年の大成 安岡 正篤
文字禍 中島 敦
科学するブッダ 犀の角たち (角川ソフィア文庫) 佐々木 閑
人新世の「資本論」 (集英社新書) 斎藤 幸平
こうすれば絶対よくなる!日本経済 田原総一朗 / 藤井聡
ビジュアルパンデミック・マップ 伝染病の起源・拡大・根絶の歴史 サンドラ・ヘンペル / 竹田誠 / 竹田美文 / 関谷冬華
株式会社アメリカの日本解体計画 堤未果
ザ・ロスチャイルド 林千勝
日本人が知らない世界の黒幕 馬渕睦夫
知ってはいけない現代史の正体 馬渕睦夫
世界一簡単な驚きの健康法 マウステーピング 今井一彰

9月(5)
ぼくらの祖国 (扶桑社新書) 青山 繁晴
美しく、強く、成長する国へ。ー私の「日本経済強靱化計画」ー  高市 早苗
安いニッポン 「価格」が示す停滞  中藤 玲
カーボンニュートラル革命 猪瀬直樹
日本の古代文化 (岩波現代文庫) 林屋 辰三郎

10月(9)
夢想疎石 日本庭園を極めた禅僧 枡野俊明
春宵十話 随筆集/数学者が綴る人生1  岡 潔
茶の湯名言集 ビギナーズ 日本の思想  田中 仙堂
日本文化の核心 松岡正剛
ディープステート 世界を操るのは誰か 馬渕睦夫
窓と建築をめぐる50のはなし 伊香賀俊治
運気を引き寄せるリーダー 七つの心得 田坂広志
日本の林業地 生い立ちと現状 岩水豊ほか
新版 スギのすべて 監修 坂口勝美 :全国林業改良普及協会

11月(7)
生業の生態系の保全 三井所清典
ディテールで語る建築 内田祥哉
日本列島回復論 井上岳一
医者いらずの食  内海 聡
土と日本人 : 農のゆくえを問う他 山下惣一
生命誌とは何か 中村桂子
利休の茶 堀口捨己 岩波書店

12月(7)
彦九郎山河 (文春文庫) 吉村 昭
最新版 糖尿病は薬なしで治せる (角川新書) 渡邊 昌
民映研作品総覧 1970-2005 日本の基層文化を撮る 民族文化映像研究所
質的研究 Step by Step 第2版: すぐれた論文作成をめざして 波平 恵美子
地球温暖化問題の論考-コロナ禍後の合理的な対策のあり方 杉山 大志
脱炭素のファクトフルネス 杉山大志
大工道具の日本史 渡辺晶

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2021年 11月 17日

団地改修に被災地木材(UR、朝倉産ヒノキ活用)読売新聞

カテゴリー 日々雑感


本日の読売新聞朝刊、福岡都市圏版。
宝台団地URの集会所の壁に一部、朝倉スギの赤身浮造り板を張ってもらいました。
記事はそこを訪ねたときのもの。(記事では何故かヒノキに、笑)
私も若い頃に団地暮らしをしました。
壁を擦り、香りをかいで喜ぶマダムたちと話しながら、
団地や賃貸などの住環境について、これまでアプローチをあまり考えてこなかったなと反省しました。
私の問題意識の核は、暮らしと森林の分断、建築と森林の分断にあります。
それを考えるうえで、とても良い機会でした。

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2021年 5月 15日

ウッドショック!国産材にとって、ウッドチャンスとなりえるのか?【YouTube】

カテゴリー 日々雑感


 
木は山からくるのものではありません。
多くの国では、木は海からやってきます。
日本も6~7割は海からの木を使っています。
この度のウッドショックは、海からの木で起こったものです。
山からの木のことを、山のことと同時に考える機会だと思います。
 
職人がつくる木の家ネットのYouTubeチャンネルにて、
ウッドショックについて林材ライターの赤堀さんと対談しました。
 
『ウッドショック!国産材にとって、ウッドチャンスとなりえるのか?』
https://www.youtube.com/watch?v=dLjAOjVh1Zw

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2021年 2月 09日

最先端の木造が見たい


本日(2月9日)の西日本新聞朝刊2面の「風向計」。
「最先端の木造が見たい」と題するコラムのなかで例示いただきました。
恐縮する気持ちもありますが、ここ数年しんどい思いをしてきたので励みにもなります。
美しい森につながる美しい木の建築、それが生まれるような動きをこれからできればと思っています。

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2021年 2月 06日

杉材の魅力凝縮した小屋


昨日、2月5日の西日本新聞朝刊・経済面のコラムに方丈板倉「斎」をご紹介いただきました。
岩尾記者が取材に来た1月21日は、13時から17時半頃まで長話ししたものの、
記事としてリリースされる覚悟はまったくありませんでした。
掲載を知ったのも昨日の朝、配達された新聞を開いてからです。
昨日朝から電話の問い合わせや訪問者が絶えず、反響の大きさに驚いています。
カタログがほしいと言われますが、そんな準備もしていなくて、Bセンスのなさを痛感しているところです。
いろんな方がいるので、初対面の人に終日対応するのは大変なところもあります。
それでも、木の建築、杉の建築の良さが伝わることと願いつつお話ししています。

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2021年 1月 08日

2020年の振り返り・2021年の抱負


新年早々大雪が降りました。本年もよろしくお願いいたします。
昨年の振り返り、そして今年の抱負を表明したいと思います。

★2020年を振り返って
昨年12月、6年前に運動を始めた「伝統建築工匠の技」がユネスコ無形文化遺産に登録されました。
理事を務めている「日本茅葺き文化協会」が無形文化遺産の中核である保存技術認定団体になりました。
昨年は、九州北部豪雨から3年。
復興を図るうえでも、コロナVに対応するためにも、木の建築活動に専念しました。
共星の里 黒川inn美術館の「泰庵」、そして自社敷地内に建てた「方丈板倉 斎(さい)」
そうした取り組みをふまえ、NPO木の建築フォラムの『木の建築51』
「住まいは森林の樹から考える」と題する拙論を寄稿しました。
いま、昨年を振り返ってみると、杉の鎮魂に勤しんだように思えます。
●「水と空気と森林と」(木の家ネット・つくり手特集)の記事もそのひとつです。)

☆2021年の抱負
4年前、知天命の歳に九州北部豪雨に遭いました。
それからもがいて3年半。今後のテーマがはっきりしました。
「木の文化」の復興です。
その頂点にある「杉の文化」の復権にこれからを捧げます。
今年は、所属する大学院で博士論文に取り組みます。

昨年より、九州大学芸術工学研究院教授・知足美加子先生による
「被災銘木(鬼杉落枝と千本杉倒木)による英彦山下宮御神躰・不動明王制作プロジェクト」に携わっています。
昨年12月は、樹齢1200~1300年の鬼杉の枝の製材、及び英彦山千本杉を山内にて製材しました。


(写真:知足美加子)

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2020年 12月 31日

令和2年、私は何を考えたか。

「方丈板倉 斎(さい)」( 写真:齋藤さだむ)

一年間の入手書籍を9年前から公開しています。
「入手」につき全て読んだ訳ではありませんが、その時々で何を考えていたか、よい記録となります。
コロナ禍の今年の入手書籍は121冊でした。
今年の一冊は『福岡伸一、西田哲学を読む―生命をめぐる思索の旅 動的平衡と絶対矛盾的自己同一』池田善昭,福岡伸一でした。
西田幾多郎の絶対矛盾的自己同一という難解な哲学が、福岡伸一氏の動的平衡理論で読み解けた、ような気がして感動しました。

一年を振り返ると今年は3年前の豪雨で被災した祖父の山の杉の木を用いて、
2つの建築活動、黒川復興庭園「泰庵」と「方丈板倉 斎」を行いました。
終わってみれば、創造的な一年であったように思います。
関わってくださったすべての方に感謝いたします。

令和2年 購入(入手)書籍一覧
1月 (3)
『ミクロの森: 1m2の原生林が語る生命・進化・地球』 デヴィッド・ジョージ・ハスケル,三木 直子
『真贋』 吉本 隆明
『進士五十八の風景美学』 進士五十八

2月 (7)
『なぜ直感のほうが上手くいくのか? – 「無意識の知性」が決めている』 ゲルト ギーゲレンツァー, 小松淳子
『風土工学序説―風土とハーモニーし,風土を活かし,地域を光らす,地域づくりの技』 竹林 征三
『一休 』 水上 勉
『行動経済学の逆襲 上』リチャード・セイラ―,遠藤真美
『日本建築史 (建築学の基礎 6)』 後藤治,
『「おなかのカビ」が病気の原因だった (日本人の腸はカビだらけ)』 内山 葉子
『木造住宅の現在形 < 住宅建築 2008年 5月号(No.397)』 建築資料研究社

3月 (9)
『鼻のせいかもしれません: 親子で読む鼻と発育の意外な関係』 黄川田 徹,シンスケ, ヨシタケ
『《原爆の図》のある美術館――丸木位里、丸木俊の世界を伝える』 岡村 幸宣
『白川静文字講話〈1〉』 白川 静
『日本原初考 諏訪信仰の発生と展開』 安久井竹次郎,今井野菊,金井典美,北村皆雄,田中基,野本三吉,宮坂光昭,守矢早苗,古部族研究会
『古諏訪の祭祀と氏族 (日本原初考2)』 伊藤富雄,今井野菊,北村皆雄,田中 基,野本三吉,宮坂清通,宮坂光昭,古部族研究会
『日本原初考 古代諏訪とミシャグジ祭政体の研究』 今井野菊,北村皆雄,田中 基,野本三吉,宮坂光昭,古部族研究会
『免疫力アップ!呼吸にまつわるふかーい話―息育のすすめ』 今井 一彰
『アルベール・カミュ『ペスト』 2018年6月 (100分 de 名著)』 中条 省平
『ペスト』 カミュ, 宮崎嶺雄

4月(24)
『木造建築用語辞典』 一元, 小林,喜彦, 宮越,昌巳, 高橋,公啓, 宮坂
『日本文化の核心 「ジャパン・スタイル」を読み解く』 松岡 正剛
『呉越春秋 湖底の城』 宮城谷 昌光
『日本人はどのように森をつくってきたのか』 コンラッド タットマン,熊崎 実,
『白川静「文字講話」全24巻 (DVD完全収録版)』 白川 静
『ユリイカ 特集:白川静 100歳から始める漢字』
『「脳の炎症」を防げば、うつは治せる』 最上悠
『ユリイカ 特集:梅原猛 臨時増刊号 4 2019(第51巻第5号)』
『大王陵発掘!巨大はにわと継体天皇の謎』 NHK大阪「今城塚古墳」プロジェクト
『古代豪族と大王の謎』 水谷 千秋
『謎の大王 継体天皇』 水谷 千秋
『直観を磨く 深く考える七つの技法』 田坂広志
『基礎から学ぶ 素材・建材ハンドブック (コンフォルト臨時増刊1999年2月)』

5月(13)
『食卓の向こう側〈1〉』 西日本新聞社「食くらし」取材班
『食卓の向こう側〈2〉』 西日本新聞社「食くらし」取材班
『継体天皇と朝鮮半島の謎』 水谷 千秋
『ひとさらい 笹井宏之第一歌集』 笹井 宏之,加藤 治郎
『明日が変わるとき―クリシュナムルティ最後の講話』 ジドゥ・クリシュナムルティ,小早川詔, 藤仲孝司,
『最後の日記 』 J・クリシュナムルティ
『吉野ケ里と邪馬台国 : 清張古代游記』 松本清張
『脳がよみがえる断食力』 山田豊文
『目に見えない資本主義 : 貨幣を超えた新たな経済の誕生』 田坂広志
『伝わる・揺さぶる!文章を書く』 山田ズーニー
『森を守る文明・支配する文明』 安田喜憲
『森の日本文明史』 安田喜憲
『喜ばれる : 自分も周りも共に幸せ』 小林正観

6月(13)
『日本山水論』 小島烏水,隆文館,大正5
『日本の庭園』 進士五十八
『造園を読む』 進士五十八
『屋久島の山守千年の仕事』 高田 久夫
『藤森照信の茶室学―日本の極小空間の謎』 藤森照信
『樹木たちの知られざる生活: 森林管理官が聴いた森の声』 ペーター・ヴォールレーベン,長谷川圭
『福岡伸一、西田哲学を読む―生命をめぐる思索の旅 動的平衡と絶対矛盾的自己同一』 池田善昭,福岡伸一
『方丈記CD3セット6枚朗読NHK』

7月(9)
『渡り腮(あご)構法の住宅のつくり方―木の構造システムと設計方法』 丹呉明恭, 山辺豊彦,
『風の谷のナウシカ 全7巻箱入りセット「トルメキア戦役バージョン」』 宮崎 駿
『薬を使わずにリウマチを治す5つのステップ ―口と足から免疫力を高めてリウマチに打ち克つ』 今井一彰

8月(5)
『センス・オブ・ワンダーを探して ~生命のささやきに耳を澄ます』 阿川 佐和子, 福岡 伸一
『情報の歴史―象形文字から人工知能まで (BOOKS IN・FORM SPECIAL)』松岡 正剛
『脳と森から学ぶ日本の未来』 稲本 正
『日本人と山の宗教 (講談社現代新書)』 菊地 大樹
『武器としての「資本論」』 白井聡

9月(3)
『創業一四〇〇年――世界最古の会社に受け継がれる一六の教え』 金剛 利隆
『孤篷のひと (角川文庫)』 葉室 麟
『泣きみそ校長と弁当の日』 竹下和男

10月(6)
『違和感の正体 (新潮新書)』 先崎 彰容
『後世への最大遺物・デンマルク国の話 (岩波文庫)』 内村 鑑三
『木の実の文化誌 (朝日選書)』 松山利夫,
『役小角読本』 藤巻 一保
『光合成とはなにか―生命システムを支える力 (ブルーバックス)』 園池 公毅
『吉本隆明『共同幻想論』 2020年7月 (NHK100分de名著)』 先崎 彰容

11月(15)
『ルソー『エミール』 2016年6月 (100分 de 名著)』 西 研
『易と日本の祭祀―神道への一視点』 吉野 裕子
『古代天皇家「八」の暗号』 畑アカラ
『ヒトの発達の謎を解く』 明和政子
『ダライ・ラマ「死の謎」を説く―輪廻転生 生命の不可思議』 ダライラマ14世
『原説般若心経 新装改訂版』 高橋信次
『心の原点 新装改訂版』 高橋信次
『心眼を開く』 高橋信次
『心の指針』 高橋信次
『心の発見 現証篇』 高橋信次
『心の発見 科学篇』 高橋信次
『心の発見 神理篇』 高橋信次
『名文どろぼう 』 竹内 政明
『大地の心理学 : 心ある道を生きるアウェアネス』 ドン・ファン、ファインマン
『都会からはじまる新しい生き方のデザイン』 ソーヤー海、 東京アーバンパーマカルチャー

12月(14)
『もののけ〈1〉 (ものと人間の文化史)』 山内 昶
『鬼がつくった国・日本~歴史を動かしてきた「闇」の力とは~』 小松 和彦, 内藤 正敏
『鬼と日本人』 小松 和彦
『鬼の話』 折口 信夫
『目の見えない人は世界をどう見ているのか 』 伊藤 亜紗
『スマホ脳』 アンデシュ・ハンセン
『波動の法則』 足立育朗
『芸術新潮 特集【オールアバウト運慶】』 芸術新潮
『建築講座 古典に学ぶ茶室の設計』 中村 昌生
『交響曲「第九」の秘密 – 楽聖・ベートーヴェンが歌詞に隠した真実 – 』 マンフレッド・クラメス
『ベートーヴェンの生涯』 ロマン・ロラン
『日輪』 横光 利一
『リト-「サムシング・グレ-ト」に感謝して生きる』 山元加津子、村上和雄
『和室学-世界で日本にしかない空間 住総研住まい読本』 松村秀一、服部岑生

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2019年 12月 31日

令和元年(平成31年)、私は何を考えたか。


一年間の入手書籍を8年前から公開しています。
あくまで「入手」なので全部読んではいませんが、その時々で何を考えていたか、よい記録となります。
今年の入手書籍は185冊でした。
今年は七月に母と永訣したこともあってか、本をよく読みました。
母が念仏を信楽していた影響もあり、親鸞についてはとくに。(吉本隆明、梅原猛、五木寛之など)
『吉本隆明が語る親鸞』付属の5回の講演音声を飽きるくらいに聴いたおかげで、かなりすっきりしました。
杉文化の来歴研究としての古代史、前半は古田武彦氏の九州王朝説を多読、後半は上田正昭氏にどっぷりと。
上田氏による渡来人の研究は素晴らしく、全集を購入してしまいました。
来年はそろそろ考えを整理して、一冊の本にまとめることを目標にします。

平成31年 購入(入手)書籍一覧
1月(56)
『ほんとうの心の力』中村 天風
『知の編集術』松岡 正剛
『森林浴はなぜ体にいいか 』宮崎 良文
『ジブリの教科書10 もののけ姫』
『新史論/書き替えられた古代史 4 天智と天武 日本書紀の真相』関 裕二
『倭国の時代』岡田 英弘
『[完全版]生きがいの創造』飯田 史彦
『水底の歌―柿本人麿論 (上)』梅原猛,
『水底の歌―柿本人麿論 (下)』梅原猛
『柿本人麻呂  人と作品』 中西進 編
『日本人の「あの世」観』 梅原猛
『おいでよ 森へ―――空と水と大地をめぐる命の話 「おいでよ 森へ」プロジェクト』
『天智伝』中西 進
『こんなに効くぞぬれマスク―風邪の減らない「予防学」を科学する』臼田 篤伸
『バガボンド コミック 1-37巻セット』井上雄彦
『天災から日本史を読みなおす – 先人に学ぶ防災』磯田 道史
『「ニンジンから宇宙へ」よみがえる母なる大地 』赤峰 勝人
『山の木のひとりごと』宇江敏勝/酒見綾子
『樹木と生きる 山びとの民俗誌』宇江敏勝
『山人伝』宇江敏勝

2月(16)
『大神神社史』大神神社史料編修委員会 編,大神神社社務所
『香椎宮史』廣渡正利著
『洛中洛外の群像 失われた中世京都へ』瀬田勝哉
『神々の記憶―日本人の心の風景』牧野 和春
『宮本武蔵(八)』吉川 英治
『森の神々と民俗』金田 久璋
『神仏のかたち』梅原 猛
『神仏習合』逵日出典
『人は何のために「祈る」のか 生命の遺伝子はその声を聴いている』村上 和雄,棚次 正和
『NICHE mook02』鈴木 敏彦,中島 智章,香川 浩,平井 充,類洲 環,蔡龍 保,杉原 紀
『八幡宮寺成立史の研究』逵 日出典
『失われた九州王朝:天皇家以前の古代史』古田武彦
『まぼろしの祝詞誕生―古代史の実像を追う』古田 武彦
『日本の秘密 「君が代」を深く考える』古田 武彦
『イネとスギ―国土の自然をつくりかえた植物』稲村達也, 中川重年
『銃・病原菌・鉄 DVD[軽装版]』ジェレドダイアモンド

3月(9)
『銘木史』銘木史編集委員会編,全国銘木連合会,
『701 人麻呂の歌に隠された九州王朝 [DVD]』古田武彦,小倉智昭,大塚芳忠,三原綱木
『虔十公園林 ミニ絵本付き朗読CD』宮沢賢治,佐藤国男,鳥本八重子,大西剛
『倭人伝を徹底して読む』古田武彦
『盗まれた神話―記・紀の秘密』古田 武彦
『人麿の運命』古田 武彦
『聖徳太子論争』古田 武彦
『生誕290年 木喰展:庶民の信仰・微笑仏』神戸新聞社
『神道史研究第60巻第2號』 
(「古代神祇祭祀の基本形態―神体山信仰の展開」逵日出典 掲載)

4月(16)
『万葉集草木考 < 万葉集 > 復刻版 第一巻~第四巻』岡不崩(4冊)
『柿本朝臣人麻呂歌集の研究』森 淳司
『万葉集に歌われた草木』猪股 静弥,大貫茂,
『万葉の森 物語の森』筒井 迪夫
『森を読む―種子の翼に乗って』ヘンリー・D. ソロー,伊藤詔子,
『日本文化における時間と空間』加藤 周一
『緑化工技術』倉田 益二郎
『草木成仏の思想――安然と日本人の自然観』末木文美士
『芸術新潮 2019年 04 月号』追悼梅原猛
『怪物はささやく [DVD]』シガニー・ウィーバー
『怪物はささやく』パトリック・ネス,ジム・ケイ,シヴォーン・ダウド
『断固、森を守る』田島 信太郎
『法隆寺の中の九州王朝』古田 武彦

令和元年5月(11)
『美術手帖 1992年4月号 Vol.44 No.652 [特集]ヨーゼフ・ボイス カオスと創造』美術出版社
『美術手帖 1983年4月号 ヨーゼフ・ボイス』美術出版社
『照葉樹ハンドブック』林 将之
『古代は輝いていた〈1〉『風土記』にいた卑弥呼』古田 武彦
『古代は輝いていた〈2〉日本列島の大王たち』古田 武彦
『新日本人の起源 神話からDNA科学へ』崎谷満
『古代の道教と朝鮮文化』上田 正昭
『「みろくの世」―出口王仁三郎の世界』上田正昭,
『日本の道教遺跡』福永光司,高橋徹,千田稔
『日本の渡来文化―座談会』司馬 遼太郎,上田 正昭,金 達寿
『日本茅葺き紀行』安藤邦廣、上野弥智代、杉原バーバラ

6月(7)
『高血圧を自力で治す最強事典 (薬に頼らず血圧を下げる23の極意)』
『実践 日々のアナキズム――世界に抗う土着の秩序の作り方』ジェームズ・C.スコット
『心に美しい庭をつくりなさい。』枡野 俊明
『共生のデザイン 禅の発想が表現をひらく』枡野俊明
『高血圧の9割は「脚」で下がる!』石原 結實
『翻訳と日本の近代』丸山眞男、加藤周一
『日本その心とかたち』加藤周一(スタジオジブリ)

7月(9)
『古事記 祝詞 (日本古典文学大系 〈1〉)』倉野 憲司,武田 祐吉
『呪の思想』白川 静,梅原 猛
『漢字―生い立ちとその背景』白川 静
『加藤周一セレクション3』加藤周一
『新・幸福論: 「近現代」の次に来るもの』内山 節
『森林から都市を結ぶ―森林フォーラム〈’87―’88〉』森林フォーラム実行委員会
『喪の途上にて―大事故遺族の悲哀の研究』野田 正彰
『遺族外来: 大切な人を失っても』大西秀樹,
『身近な人が亡くなった後の手続のすべて』

8月(8)
『「公益」資本主義 英米型資本主義の終焉』原丈人,
『「死ぬ瞬間」と死後の生』エリザベス キューブラー・ロス
『死、それは成長の最終段階―続 死ぬ瞬間』エリザベス キューブラー・ロス
『死ぬ瞬間―死とその過程について』エリザベス キューブラー・ロス
『ボイスから始まる』菅原 教夫
『英彦山の宗教民俗と文化資源』福岡大学 福岡・東アジア・地域共生研究所,白川 琢磨
『日本の住宅遺産 名作を住み継ぐ』伏見 唯,藤塚 光政
『デザインの鍵 : 人間・建築・方法』池辺陽

9月(9)
『山はむらさき』平澤興
『増補 21世紀の国富論』原丈人
『向こう三軒両隣り』田中 敏溥
『生きものの建築学』長谷川 尭
『人類哲学序説』梅原猛
『令和日本・再生計画: 前内閣官房参与の救国の提言』藤井聡
『柏木庫治教話集〈1〉 天の理・地の理』柏木庫治
『白蓮華のように』中島みどり
『高良山と筑後の山岳霊場遺跡 資料集』 九州山岳霊場遺跡研究会

10月(14)
『家屋文鏡の世界―古代祭祀建築群の構成原理』池 浩三
『決断科学のすすめ』 矢原徹一
『ザ・マデラ―本当に生きたかった人生を生きて見る』上崎收,
『初学者のための質的研究26の教え』中嶌 洋
『あなたの脳のしつけ方』中野 信子
『数字が語る現代日本の「ウラ」「オモテ」』宇田川 勝司
『共通感覚論』中村 雄二郎
『西田幾多郎先生の追憶―西田幾多郎没後50周年記念』高坂 正顕
『糖質制限の真実 日本人を救う革命的食事法ロカボのすべて』山田 悟
『森林の崩壊―国土をめぐる負の連鎖』白井 裕子
『ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと』奥野 克巳
『臨済録』柳田 聖山
『タウト日本の家屋と生活』篠田英雄訳
『MUSEUM 東京国立博物館研究誌 第679号』 《特集:小原二郎氏旧蔵木彫像用木材調査標本の再調査》

11月(15)
『阿弥陀仏経碑の謎』原田大六
『邪馬台国は福岡県朝倉市にあった!!―「畿内説」における「失敗の本質」』安本美典
『朱子学と陽明学』小島 毅
『吉本隆明が語る親鸞』吉本隆明,信濃八太郎
『運気を磨く 心を浄化する三つの技法』田坂 広志
『レバノン杉のたどった道―地中海文明からのメッセージ』金子 史朗
『最後の親鸞』吉本隆明
『親鸞 決定版』吉本隆明
『「易経」一日一言』竹村 亞希子
『古語拾遺』斎部 広成
『渡来の古代史』上田正昭
『私の日本古代史〈上〉天皇とは何ものか―縄文から倭の五王まで』上田 正昭
『私の日本古代史〈下〉『古事記』は偽書か―継体朝から律令国家成立まで』上田 正昭
『鎮守の森は甦る―社叢学事始』上田,篤, 上田正昭
『健康は住宅で決まる』 川田季彦

12月(15)
『上田正昭著作集 第1・2・3・4・5・6・7巻』上田正昭
『脳の発見 脳の中の小宇宙』角田 忠信
『フィールド 響き合う生命・意識・宇宙』 リン マクタガート,McTaggart,Lynne,野中浩一,
『あなたの体は9割が細菌』 アランナ・コリン
『清潔はビョーキだ』 藤田 紘一郎
『日本人の勝算: 人口減少×高齢化×資本主義』 デービッド アトキンソン
『世紀末を語る』 J.ボードリヤール×吉本隆明
『へたも絵のうち』 熊谷守一
『えーえんとくちから』 笹井 宏之   計185冊

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2019年 12月 02日

アレルギー考 ~スギ花粉症は自然からの警鐘か~

「アレルギーと住宅と考える会」の川田季彦さん(山形県酒田市 建築士)より、
著書『健康は住宅で決まる』をご恵贈いただきました。
それが機となり改めて「アレルギー」について考えさせられました。
以下の文章は、川田さんへ返信した手紙の一部です。
長文ですが、お時間のゆるす折りにでもご高覧いただけましたら幸いです。

川田様

アレルギーという言葉は、1906年にクレマン・フォン・ピルケ(1874〜1929)が
”Allergie” と題する論文で初めて用いた用語のようです。
それから百年後の現代、私たちにとってそれはあまりにも身近な症状となりました。
私もアレルギーを抱えています。中学生の頃アトピー性皮膚炎になりましたし、
食物では甲殻類に軽いアレルギーがあります。
「アナフィラキシー」という急性アレルギー症状が命の問題と認識されてはいるものの、
今や「アレルギー」は当たり前になりすぎて深刻視されていないのでは、とさえ感じます。
本著本文中にもありましたが、1990年代に深刻な問題とされたシックハウス症候群は、
建築材料へのホルムアルデヒドの使用制限、24時間換気設備の設置義務などを定めた
2003年建築基準法改正によって、すでに解決済と見なされてしまった感があります。

しかし、アレルギーと現代人との問題は深刻化していると思います。
『大辞林(第三版)』に、アレルギーは
「①本来なら無害であるはずの抗原に対する免疫反応によって引き起こされる疾患」
と定義されています。
本来なら無害である抗原の代表がスギ花粉です。
東京都の調査によると、東京都民のスギ花粉症推定有病率は、
平成18年度の28.2%から平成28年度には48.8%へと、この10年間で激増しました。
(下表参照)
花粉症は、人生の質(QOL) に影響を与るだけでなく、財政をも圧迫しています。
今年8月23日、健康保険組合連合会から「花粉症治療薬を全額自己負担にすべき」との提言がなされました。
年間で最大約600億円もの医療費削減効果があると試算されたようです。
(NHK NEWS WEB 2019-0823)
アレルギー性鼻炎は生死に係わる病気でないという感覚がその基層にはあるのでしょうが、
アレルギー症状は気づかぬうちに、猛烈な勢いで広まっています。
未発症の人の身体にも現在進行形で影響を及ぼし続けていることを忘れてはなりません。

http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2017/12/18/14.html(東京都HP)

話はとびますが、私はいま、「スギ問題」と自ら名づけた問いに向き合っています。
弊社のある福岡県朝倉市杷木は、平成29年九州北部豪雨の被災地となりました。
土石流とともに流れた夥しい量の流木、表層崩壊し赤土がむき出しとなった山々。
被災後も、梅雨や台風など大雨の度、不安にかられます。
そうしたなか、「もう杉はよか・・」という声を耳にしました。
それは辛い経験でした。杉・檜が人々に危害を加えたと私も感じてしまったからです。
山々にあっては国土を守り、住まいにあっては人々を癒す、
そんな木々に対する信頼がぐらついてしまいました。
今回の水害は、線状降水帯がもたらした9時間774㎜、24時間1,000㎜以上という猛烈な雨が原因です。
土砂1,100万㎥、流木21万㎥が流出したと推計されています。
しかし、連日の報道によって、流木が凶器と化し被害を拡大させたとのイメージが広がりました。
主犯はまるで流木であるかのようでした。そして以下のような意見が噴出しました。
「戦後の国策により日本の山々を覆う杉・檜の人工林は、
価格の低迷、就業者の減少などにより管理が行き届かず放置林と化している。
人工林(針葉樹)は根を深く張らず治山効果が低い」。

昭和28年、筑後川を初め日本各地で起こった大洪水の後は、
伐り尽くされ荒廃した山が原因とされ、杉・檜が植えられました。
ところが今では、土砂崩れなどの度に針葉樹林が問題視されます。
表層崩壊は、広葉樹、針葉樹の根系より深いところで発生しているにも関わらず。
つまり感情が先行した理論なのです。
このネガティブな感情論には、スギ花粉症の忌々しさが多分に加勢していると思います。

こうしたネガティブな感情をポジティブな感情へと転換することが私の仕事である、
と覚悟を決めたのは、じつは最近のことです。
現状の人工林を活かし100年後200年後へむけて、どのように山をデザインしていくか。
その過程で発生する間伐材を、どのような形で住まいに活かしていくか。
こうした問いに対し、山々を歩きながら考えてきました。
そしてようやく具体例がイメージ出来るようになりました。
これまで取り組んできた、大径木を活かした木取り、天然乾燥や40度以下の低温乾燥技術、
無垢板で建てる板倉構法なども、その実践編として有効であると確信しているところです。

「アレルギーは、自然からの警鐘です。
 自然が発するメッセージを読み取らなくなったとき、持続可能性は危うくなります」
「アレルギーには、現代社会が生み出した様々な問題が凝縮されているのです」
という本文箇所はとくに共感を抱きました。そして私にはこうも聞こえました。
アレルギーの典型「スギ花粉症」はどんな警鐘を鳴らしているのか。
それを生み出した現代社会の問題とは何か… 

このとき気になるのが、前出『大辞林(第三版)』のアレルギーのもう一つの定義、
「②ある物事を頭から拒否する心理的反応」です。
花粉症の蔓延する日本において、
最早「スギ」に対し心理的拒否反応しか示されないのではないか、と危惧しています。
下手をすると、「アレルギー」という言葉そのものにさえ「アレルギー反応」を抱かれるかもしれません。

そうしたアレルギー反応を打破するには、五感で感じてもらうことだと思います。
川田さんの取り組みで興味深いのは、
瓶の中へパンと一緒に様々な建材を入れ、カビの生え方の違いを観察するなどの透湿実験です。
スギと聞くだけで鼻がムズムズする、と花粉症の人に言われるスギ。
そのスギの板材がとびぬけて優秀なのは面白い。
現実の前には言葉もデータも不要です。
実験の輪が広がることを期待しています。私もやってみたいと思います。

杉岡世邦

※この透湿実験は、以下のHPで見られます。
アレルギーと住宅を考える会 http://www.kenchiku.gr.jp/
↑HPの右上の「facebook 実験グループ」をクリックし入会すると驚きのカビ実験を見ることができます。
他にも様々な興味深い透湿実験が紹介されています。

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2019年 5月 29日

針葉樹は悪くない

令和元年5月25日(土)付
西日本新聞朝刊二面の風向計「針葉樹は悪くない」

災害がおこると悪者扱いされる人工林に針葉樹。
平成29年九州北部豪雨後、「もう杉はよか・・」という声なき声が聞こえてきます。
ニハチの水害と呼ばれる昭和28年の筑後川大氾濫の時は、伐り尽くされ荒廃した山林が悪と見なされました。
そうした大水害が日本中に頻発したからでしょう。戦後の拡大造林は一気に広まりました。
災害がおこると人は何か(誰か)のせいにしたがる傾向にある。
自然の猛威が原因でも、人災へと転化する。
昭和28年は木を植えることが唱えられました。
そして平成29年は木を伐ることが訴えられたました。
災害直後、私はなにが正しいのか判断できずに、本を読み直し、山々を歩きました。
おそらく、この記事に対し矢を放つ人がでてくることでしょう。
森林の問題は、なぜか人を感情的にします。
生き物としての防衛本能がそうさせるのではないかと感じます。
腹を据えてシェアします。ご高覧戴けましたら幸いです。

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