昨年の秋頃から、sugiokatoshikuni.com というアドレスでオリジナルHPを試験的に立ち上げました。
(これまでのブログ「ご縁日記 木挽き棟梁をめざして」とブログについては同じものをアップしています。)
このHPを立ち上げて変わったことがあります。それは直接面識のない方々と交流する機会が増えたということです。当初、これまでと同様に私の杉に対する思いや考えを伝えてみようとやり取りしていました。ところが予想もつかないことがいろいろと起こり、とてもビックリさせられています。九州にお住まいというわけでもなく、建築にもそれほど関わりのないお仕事。そんな方々と文字を基本としたやり取りをしながら、このままではいけないなぁ・・・と強く感じるようになりました。
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2年ほど前のことです。ミクシィへこんな質問メッセージをいただきました。
ところで…。素朴なギモンなのですが。
材木については素人なので教えてください。
日本家屋にはよく松や杉が使われているようなのですが
杉材を使った場合に花粉症の心配ってないのですかね?
香りは嫌いではないのですが、毎年花粉症に悩まされているので
ちょっと心配です。
このご質問を私は少数派だと勘違いしていました。
先週東京へ行き名刺交換をしていたときのことです。
私の名刺は杉皮を使った和紙なのですよ、と説明しながらお渡ししたところ・・・
おもむろに鼻に近づけクンクンと嗅いだ後
「私は花粉症なのですけれど、これは大丈夫なんですよね?」
と尋ねられました。
これに驚いたのです。と同時に先ほどご紹介したメールを思い出したのでした。
同じ日、ブログを通して知り合った方との初対面を果たしました。
その方とはお互い本をプレゼントし合ったことがありました。
梱包を開けた瞬間杉の香りがするように杉板を同封したところ、
その方自身にはとても喜んでいただいたのですが、
それには興味深い後日談があったのでした。
「杉板を僕に近づけないでくれ。その香りだけで鼻がムズムズしてくる・・・」
とご主人が仰ったそうなのです。^^
これにも驚きました。
(くれぐれも誤解なさらないでください!)
(杉花粉症は、杉の皮や木材で発生することはありません。)
そしてこのとき気づきました。
現代の日本に住む多くの人にとって
「杉」から連想されるものは、もはや「スギ花粉症」しかないのではないか。
その症状に苦しんでいる人にとって
スギという存在は厄介ものでしかない、ということか。
これは私にとってパラダイムシフトでした。
国土の12%を占める杉の人工林。
鉄鉱石でさえあと230年しか埋蔵していないこの地球で
唯一再生産が可能な資源、「木材」。
そして木材の中でも、最も安定して生産できるのが「杉」なのに。
軽くて強くて加工しやすく耐久性が高く、
古来より、船も建築も様々な道具も何もかも、とにかく杉ばかりなのに。
日本文化の発展は杉と共にあるとも言ってよいほど、
つい最近まで日本人は杉と深く関わっていたというのに。
でも、思い返してみれば、私も杉の文化を知らないなぁ~と気づきました。
私自身が、杉の文化の分断した世の中に暮らしています。
そこで・・・
「杉にまつわる文化のあれこれを収集する決意」をしました。
近い未来、地下資源が高騰して使いづらくなり、
木を使わなくてはならない時代がくるでしょう。
そのときのために、今のうちに、伝承を残さなくてはならないと思います。
少し気が引けますが・・・
「杉の文化研究所」という名称で看板をあげ、情報を集約したいと考えています。
どんな些細な情報でもかまいません。
こんな小説に杉の木のこんな表現がある、といったことでもかまいません。
一つでも多くの「杉つながりの情報」を集めたいのです。
みなさんのご協力をお願いします。
最後に・・・
素朴な疑問を投げてくださった方々に心より感謝いたします。
追伸
杉花粉症は、杉の皮や木材で発生することはありません。
花粉症について(財)日本アレルギー協会のサイトより
どうして花粉でアレルギーが起こるのでしょうか。
スギなどの花粉が、鼻のなかに吸い込まれるとアレルギーを起こす物質である抗原(アレルゲン)が花粉から溶け出します。この抗原をやっつけるために、人間は体のなかで抗体というものを作り出します。抗体は、肥満脂肪と呼ばれる細胞に乗って、抗原が体に侵入すると出撃します。そして、抗原を捕まえます。このときに肥満脂肪から、ヒスタミンなどいくつかの物質が放出されます。ヒスタミンなどの物質は、神経を刺激します。
この刺激でくしゃみが起きたり、鼻水が流れたりして、抗原を体の外へ追い出すのです。鼻の血管は刺激を受けて、鼻の粘膜が腫れ、鼻づまりが起こります。こうして抗原(花粉)を含んだ空気を、入れにくくするのです。眼についた花粉も同じような体のはたらきで、眼のかゆみを起こします。また、腫れて(鼻づまりにあたる)、涙(鼻汁にあたる)によって、花粉を洗い出そうとします。