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2009年 3月 05日

杉花粉症の特効薬?!

カテゴリー 杉の文化研究所

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このところ、杉に関する書籍・古書を購入しています。
今日は、「自然に医力あり」(槇佐知子著・1997年初版)より、
杉花粉症の薬を自分でつくれるという興味深い文章を要約してご紹介したいと思います。
 

その前に、みなさん「医心方」という医学全書をご存知でしょうか?
「医心方」というのは、鍼博士の丹波康頼が、今から千年以上前の永観二年(984年)、
中国の二百三の文献から選集した医学全書。国宝に指定され、
世界的文化財といわれながら現代語訳がなく「幻の名著」とされる。
その「医心方」を全訳し出版されている方がこの本の著者なのです。
 

(以下、杉花粉特効薬に関する部分のみ要約にて引用)
 

杉花粉症の特効薬発見には、著者の息子さんの花粉症がきっかけとなる。
古今の文献を調べていると、現代中国の臨床実験報告の中に、
スギは喘息・慢性気管支炎・鼻炎の薬としての効能があると知る。
ところが中国でのスギとは紅葉杉(こうようざん)であり、日本の「杉」ではない。
とはいえ、息子の花粉症は日本の杉花粉が原因なのだから、と試してみることにした。
文献に作り方など詳細は書かれていないが、以下の要領でつくる。
 
①杉の葉先、15センチくらいを採取し、約50グラムを水道の水で埃を流す程度にさっと一洗いする。
②ホーローびきの深い鍋に杉の葉を入れ、杉の葉がかくれるようにたっぷりの水で煮る。
③一方、お湯を沸かしてポットに入れておく。
④鍋は煮立ったら火は中火にし、沸騰状態で四時間煎じる。
  葉が常にお湯に浸かっているように、ポットのお湯を注ぎたしながら煎じる。
⑤四時間沸騰させたら火から下し、杉の葉を除き、五~六枚重ねたガーゼで濾す。
⑥別に小鍋で砂糖のシロップを作っておく。
⑦⑤の煎汁のうち、二合くらいをシロップで適宜に味つけして再び煎じる。

 
 
味見をしていたら、何だか鼻孔がすうっと開いたような気がした。
それまで自覚しなかったが、私も鼻づまり気味だったのだろう。
息子に試してみると、
「きれいな色だね。飲んでみるよ。」
そして「いけるね。おいしかった。」
それから三日間、食後の服用を続けると、鼻の下の爛れもすっかり治る。
その時は、花粉症も終わる頃だったのでは、と思ったが、翌年も、その翌々年も再発しない。
その翌年は再発するも一回服用しただけでまた治った。
 
 
何年か前に杉の葉エキスのことを発表した時は、
「東京新聞」生活部の安井禮子記者が取材に来て一緒にエキスを作ったあと、
原料の葉を持ち帰り、自宅で再現してお嬢さんの鼻炎で試してから記事にした。
「追跡」というTV番組の取材もあって、花粉学会でも話題となった。
 
 
煎汁は、疥癬や湿疹といった皮膚病、関節痛や挫傷にも効くとされる。
何よりも香りが良いので私は入浴剤代りに煎じて茶色になった葉も、
洗濯用のネットに入れ、煎汁と一緒に風呂に入れる。
すると新湯でもなめらかで刺激がなく、森林浴と入浴が一緒にできるのがうれしい。
 
 
最近、開業医の方から
「漆器の職人さんは、跡継ぎにする子供が生まれると、
赤ちゃんのころから少しずつ漆を与えて、かぶれないよう抵抗力をつけるという。
杉花粉症に杉の葉エキスを服用するのも、理に叶っていると思う。製法と服用法を教えてほしい」
とお手紙をいただいた。
 
 
(要約引用 終わり)
 
 
このあとは・・・
身の回りは、台所用品も家庭用品はなにもかも杉ばかり。
産湯のたらいに始まり、手桶、ひしゃく、釜や鍋蓋、おひつ。
漬物樽、味噌・醬油樽、酒樽、酒枡、洗い桶、洗濯板、しゃもじ、お箸。
と口をつけるものも身につけるものも、杉を使っていたという回想がつづきます。
その後、堂々とした杉の文化論が述べられます。
 
 
花粉症をなくすために「杉を伐採して他の木を植えよう」という意見もあるが、とんでもないことである。
 
 
「杉が立ち枯れるのは凶事の起こる前兆」という言い伝えがある。
杉を花粉症の元凶と見るのではなく、杉と共存する方法を考えるべきではないだろうか。

 
 
ちなみに、
著者の「槇佐知子」とはペンネームで、本名は「杉山多加子」だとWikipediaで知りました。
私もそうですが、姓に「杉」がありますね(笑) 著者の杉に対する思いは相当なものだと思います。
 
 
最後に・・・
(なお、口当たりがいいので飲みすぎないよう、食後に盃一杯程度に留めていただいたい。)
とあります。ご注意を!^^

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