2010年 6月 23日
芭蕉・蕪村展と阪急創始者・逸翁自邸でみつけた意外な杉ネタ
先週末は、日本木青連の全国大会で大阪へ行き、
空き時間に、池田市の逸翁美術館で開催されている
「芭蕉・蕪村展」を見学しました。
日本文化の巨星である、松尾芭蕉と与謝蕪村の直筆の書画を目にし、
この天才二人の息吹を感じる、とても上質な時間を過ごすことが出来ました。
印象深い句をひとつだけご紹介したいと思います。
********************************
「我富り新年古き米五升 桃青」
芭蕉はいつも家の軒に瓢(ひさご)をつるしていて、弟子たちがその中へ
米を入れて先生にあげていました。芭蕉はその米を食べていました。
新年が来てその中をのぞいてみると古い米が五升(約9リットル)入っている
と喜んでいます。と同時に「古き米」という所で自分の貧しさを喜んでいる
感があります。
(桃青は当時の俳号。解説文は展示文をそのまま抜粋)
********************************
ちなみに「逸翁」とは、阪急の創始者、小林一三翁の雅号。
今回の展覧会も、逸翁コレクションを核に構成されていました。
美術館近くには、旧小林一三邸「雅俗山荘」を改造した記念館が
4月にオープン。せっかくなので足を伸ばすことにしました。
(「特別展 小林一三と松下幸之助の交友」開催中)
記念館の2階には、日本の重鎮たちが訪れたであろう逸翁の書斎が当時のままに。
そして、隣りにあるトイレ兼風呂のユニットバスを覗いて、ワクワクしました。
そこにあったのは木桶の風呂。
その奥につづくご婦人の住居スペースには、もっと面白い物が。
それがこの杉製システムキッチン。
いい味だしてると思いませんか?
松尾芭蕉のパトロンで、門下生の中で最も信頼されていたのが杉山杉風(すぎやまさんぷう)。
そして、逸翁自邸の杉キッチン。
この日も「杉の文化研究所」ネタをきっちり増やすことが出来ました(笑)
ちなみに、読書家で有名な女優の山口智子さんは、杉風のご子孫なのだそうです。納得。
杉製システムキッチン、いいですねー
お手入れが大変なのかもしれませんが、
これなら使った後に、嬉々として掃除ができそう(笑)
ぜひ一度見に行きたいものです。
Dream Writer さま
>杉製システムキッチン、いいですねー
反応していただいて、ありがとうございます(笑)
プラスティックがない時代、口に入れる道具関係は、
この国の場合、そのほとんどに杉が使われていました。
家具なども杉製のものがとても多いです。
これは、軽くて加工しやすく癖がない、しかも
耐久性に富み、やさしい芳香など、
じつにたくさんの理由があるからなのです。
古い民家の蔵に入ると、そこに収められている民具は
まさに「杉だらけ」といった感があります。
ですから、この姿は変わりモノではなくて、
当時の自然な成り行きだったのではないか、と思います。
>お手入れが大変なのかもしれませんが、
たしかに、シンク枠と天板は、今の感覚ならば、
ステンレスおよび人工大理石ですよね。
でもそれ以外は、この考え方でOK。
先日、見学会を行ったお宅のキッチンも同じ考え方。
タモ材で製作したキッチンなのです。
https://sugiokatoshikuni.com/?p=407
遅れ反応ですが^^;
このキッチン、素晴らしい!!
杉の赤身ですね。
前に風呂の側溝の蓋を数種類の材木で造って、一番腐食が少なかったのが杉の赤身でした。
キッチンを通気良くして、乾燥させれば長持ちするんじゃないでしょうか?
木目もいいですよね。
yoshiki さま
そのとおり!
杉の赤身のキッチンです。^^
水廻りに、杉の赤身を使うというのは、
現代忘れられているだけで、
定説どころか、常識だったんですよね。
登呂遺跡の水路しかり、
船しかり、屋根板しかり、桶・樽しかり。
それなのに今では、なぜ耐久性が高いのか、
データを求められる・・
不幸なのは、あまに浸透した共通認識、
常識であった故に、実験等なされるはずもなく、
ほとんどそれらしいデータがないところ。
困った物です(笑)
連書き失礼します(^_^;)
水車大工の知り合いが居ますが(テレビにも良く出てあります^^)、
水車の材料もやはり杉の赤身が一番いいと言われていました。
やはり、水に対する耐久性は高いんですよね。
ほんと、杉の凄さには驚かされます。
yoshiki さま
>連書き失礼します(^_^;)
いえいえ、ありがとうございます。(^^
>水車の材料もやはり杉の赤身が一番いい
古いものを観察していて思うのは、とくに
濡れたり乾いたりを繰り返す用途の際は、
杉の赤身が使われる傾向にあるようです。
宮崎県木材利用技術センター有馬所長の本には、
杉という素材は、水が出入りしにくい細胞組織になっている、
という旨の文章があります。