2013年 12月 16日

九州大工塾の実物大実験


12月14~15日、九州大工塾で北九州能力開発大学校(ポリテクカレッジ)へ。
土台にさした柱の引き抜き、桁・梁の引張り、曲げ等の実験をしました。
伝統的仕口と天然乾燥材の強さを再確認した二日間でした。
 
柱と土台の接合部は三つの壊れ方があります。
1.込栓が折れる
2.柱ホゾが抜ける
3.土台が割裂する
これらが複合して起こることもあります。
 

② 

 
今年の試験結果はほぼセオリー通りの壊れ方をしました。
1.4~1.5トンで、込栓のみが壊れる①ばかりでした。
昨年は、②、③も発生しましたが、いずれも、1.3~1.5トンの耐力が確認されました。
目利きした天乾材&伝統木組みの数値は安定しているな、というのが実感です。
 
しかし、建築基準法において「長ほぞ込栓」は、低い評価です。

 
(表1)を見ると「(ろ)の長ほぞ差し込み栓打」の耐力は3.4kN(キロニュートン)。
1t=9.80665kN なので、トンに直すと⇒ 3.4÷9.80665=0.3467トン  

わずか約0.35トンという低い数値なのは5%下限値だからです。
今回のように、天然乾燥材で、それなりの木を目視により選別すれば、
安定した結果を得ることができるのに、残念で悔しく思います。
 
また、目利きした天乾材&伝統木組は壊れ方が良いのも特徴。
補修しやすいからです。
①のときは、込栓を打ち直すだけで良いし、
②のときは、込栓を写真④のように二か所に差せば、ほぼ同じ耐力が確保されます。

 
では、高温乾燥材で金物を使用するとどうか。
長ほぞ込栓と同じ(ろ)の3.4kN の金物は最大耐力0.675トン。
写真⑤のような壊れ方をします。

 
(へ)の10kN の金物は最大耐力3.35トン。
金物なので確かに強いのですが、木材は無残な壊れ方をします。再利用不可。

 
九州大工塾は、木組みの家づくりをしている方が、自信を取り戻す機会だと思います。
また、壊れた後の補修方法などを考えるうえで、即実践可能な実験ができます。
職人だけでなく、木の家づくりをお考えの方にもぜひ参加して頂きたいものです。
2月開催の九州大工塾の第2日曜日は、長崎グラバー園にて、木材の講義をさせていただく予定です。

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